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平成28年度保育テーマ

平成28年保育テーマ


10年・20年先のAIやナノテクノロジーなどの科学技術の劇的な進歩が予測される未来の社会における働き方や生活スタイルは、劇的に変貌しているといわれています。そんな未来の社会像を見据えて、いまの子どもたちが来るべき未来での社会の担い手になるとき、ひととしての在り方や人間としての総合力はどうあればいいのでしょうか。このような視点から、今日の保育での養護や教育のあるべき姿や可能性を、どのように探求していくかが求められていると思います。当然ながら現状維持の問題処理型から未来創造型の発想への転換が必要になると考えています。現代を生きる私たち大人が社会のこれからのあるべき姿として、人と人の違いが公平に尊重され、個々の違いによって区別され差別されることなくつながりあい、すべてのひとが包み込まれ、共生できる社会を描き築いていくことが、大人としてのなすべき役目ではないでしょうか。豊かな人と人がつながりあう社会の形成への努力が、子どもたちひとり一人が『シアワセな未来を創るひと』として成長いくための肥沃な土壌となると思います。
ですから私たちが考える養護と教育の視点は、学力やIQのような認知能力を高めること以上に、昨年の保育テーマであった自尊感情や、やりたいという純粋意欲や主体性、人とのかかわり力、感情のコントロール、困難に立ち向かう目的達成力など、すぐには目に見えにくい成長の根と希望の種を育むことが大切だと思っています。そして、そのことが乳幼児の子どもたちの将来における豊かな人間性を育む土台になると確信しています。
そのために、まずは保育者や仲間との信頼関係の構築や心地よい居場所感から情緒的な安心・安全が、すべての子どもたちに保障されることが大切な基礎になります。こうして、ひとり一人が大切にされ、互いの違いを認め合い、違いから生まれる対立、葛藤を乗り越え、相互の理解を深め合いながら、問題解決力と自由な発想力のある仲間づくりをめざしたいと思います。そのために共感と対話のコミュニケーションを通して、みんなの意見や才能を活かしあい、おもしろいアイデアやアプローチの仕方、物事のとらえ方を尊重していきます。そこから興味・関心がさらにひろがり、発見や探求が拡張して高次の思考へと子どもたちの育ちが促されると思います。その前提として、私たち保育者が「~べき」という過去の経験によって培われた既成の枠組みにとらわれないゼロベースからの柔軟な発想を持ちたいと思います。そこで、今年度は子どもたちが年齢・性差・個性などの違いを超えて、ごちゃまぜの縦割りでない異年齢をさらに進めていくことに取り組みます。その中から、ユニークな発想やひらめきがドバドバと、子どもたちからも大人と子どもたちとのかかわりからも生成される、ワクワクするおもしろい遊びと学びの物語を紡いでいきたいと願っています。
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テーマ : ぶどうスタイル
ジャンル : 育児

平成27年度 春号  『自尊感情とは?』

児童養護施設出身のMは、工業高校を優秀な学業成績とさまざまな資格を取得して卒業しました。
彼の立派な経歴を評価され、大手の優良ハカリメーカーに無事就職することが出来ました。
前途洋々の社会人生活のスタートに見えました。
海外での貴重な実務研修などを経て、いよいよ新任としての仕事が軌道に乗り始めて半年を過ぎたころ、職場の同僚が僕の悪口を言っている、善くない噂をしていると訴え始めました。
そのまま、こうした根拠のない対人妄想が悪化して家に閉じこもり、同じ施設出身の仲間が昼夜を問わず、彼を見守りサポートしてくれました。
しかし結局、彼の言動は日増しに過激になり、手に負えずに精神病院に入院させざるを得なくなりました。
彼の病名は統合失調症です。
あの真面目で努力家のMの姿は見る影もなく、おどおどとした目つきの髪の毛とひげが伸び放題の変わり果てた姿になりました。
生活保護と医療保護を受給しながら、福祉作業所で細々と生活してきましたが、数が月前に5階のアパートから飛び降りを図りました。
幸いなことに命に別状はなかったのですが、下半身の骨が砕け、立つことだけが彼のリハビリの目標になりました。

Mは私たち夫婦が児童養護施設で共に働いていた時に、ママ先生が担当して育ててきた子でした。
彼はマイペースにのびやかに高校生活を送っていたように見えていましたが、大きな挫折感を抱えていました。
実は高校進学で目指していたのは公立の普通科の高校でした。
しかし、受験に失敗しやむなく工業高校に進学したのです。
そして彼は、毎日登校途中に本来入りたかった公立高校の前を通って自転車通学をしていたのです。
僕は公立高校の前を毎日通過するときが、とてもつらいと漏らしたことがあります。
彼にとって根深く劣等感や挫折感を刺激され続けていたのだと思います。
そのコンプレックスが、彼の学業やあらゆる資格取得への原動力になっていたのかもしれません。
周りからもその努力と実績は称賛され評価されていました。
一見大きく自尊感情が育まれているように見えていました。
しかし、彼が社会に巣立って、人間関係を含めてさまざまな社会人として乗り越えなければならない困難や課題に直面した時に、頑張りが利かずに、一気に自尊感情はしぼんでしまい、心まで壊れてしまったのだと思います。
張子の虎のように表面は強がってみても、中身は絶えず熱を送り込まれなければ膨らみ続けることが出来ない熱気球のような心の状態で、まわりから評価され称賛され続けなければしぼんでしまうような危うくもろいMだったのだと思います。

Mの飛び降り自殺から間もなく、彼の兄が40歳という若さで亡くなりました。
彼の兄もリサイクルショップのアルバイト店員として、生存ぎりぎりの生活を送っていました。
兄は喘息持ちでしたが、まともに医療のケアを受けることが出来ずに、発作が起こるとドライヤーで空気を送ってしのいでいました。
ある時に発作を起こし、もうひとつの持病である心筋梗塞で脳内血管が切れて、孤独に悶絶するような死を遂げたのです。
昨年、この兄弟に立て続けに起こった出来事は、私たちにとって例えようもない大きな衝撃でした。
この痛ましい出来事が、わたしたちのこころに澱のようにひっかかり続けていました。
Mと兄は、素朴だが粗暴で家族を支配し怒鳴り殴りつければ子どもは育つと単純に信じている父親と、うつからこころが病んでしまいこうした父親から子どもたちを守る保護膜のような役割は果たせずいた母親のもとで乳幼児期を過ごしていました。
母親の状態が悪化したことから、家族が崩壊して施設に入所してきたのです。
私たちは2人の悲劇の根底には、乳幼児期での家庭環境での育ちの在り方が、その後の人生に大きく影響していたと思っています。
私たちは、この苦い出来事を通して熟考を重ねた末に、今年度の保育の年間テーマを“自尊感情を育む”にしました。

それでは、自尊感情って?
どう理解したらいいのか。
認められたり、ほめられたり、優れていると実感できたり、価値があると思えたりすれば高まるのは、自尊感情の一部分に過ぎません。
Mはこの社会的な自尊感情は膨らんでいたのでした。
しかし、大切な自尊感情の基礎をなす部分が、施設入所前の過酷な養育環境のなかで大きく損なわれたまま補いきれずにいたのだと思います。
それでは本当の意味で、彼に課せられた大きな困難や課題を乗り越え、支えることが出来なかったのだと思います。
土台に必要な大切な残りの部分が基本的自尊感情です。
成功や優越とは無縁の感情です。
いわば、あるがままの自分自身を受け入れ、自分をかけがえのない存在として、丸ごとそのまま認める感情です。
善いところも悪いところも、長所も欠点も併せ持つ自分を、大切な存在として尊重する感情が、基本的自尊感情です。
そして、この感情こそが、自尊感情の基礎を支える大切な感情なのです。
私たちは、児童養護施設で受け止めてきた子らのさまざまな形で損なわれてきたこの基本的自尊感情を育みなおすことのむずかしさを痛いほど味わってきました。
そして、本来なら社会の一員として、何らかの貢献をしてシアワセに生きていていいはずのMとその兄の悲惨な現実を前に、いまここにいるぶどうの実の子どもたちに保護者の皆さんと共に私たちは何を育んでいけばいいのかと、これからもたじろがずに考え続け、そして実践し続けていきたいと新たな思いをかみしめています。

ぶどうの木では「シアワセな未来を創るひとを育てる」を社会的な役割のコアな目的に掲げています。
そして、保育園であるぶどうの実では、成長の根を力強く張った子、希望の種を心に宿した子に育むために、一人ひとりを大切にする子ども主体の保育を実践したいと願っています。                 
 

ぶどパパ&ママ より

参考文献 『子どもの自尊感情をどう育てるのか』ほんの森出版 近藤卓著

平成27年度 ぶどうの実保育園 保育テーマ


   しからない・せめない
まかせることで一人ひとりの子どもの



   自尊感情を育む




そのために、
『善く観る×善く聴く=共感と対話』を
実践することを通してつねに自己の心を整え、
ぶれないしなやかな“ひと”になろう!
     

雁の大群がV字になって飛んでいるのは…

先日受けた研修の中で、「雁の渡り」の話を聴ききました。
雁の大群がV字になって飛んでいるのを見たことがあるでしょうか?
あれは、「雁行(がんこう)」と呼ばれる編隊(へんたい)だそうです。
雁は、家族の絆が強く、人間と変わらない高度な感情を持つと言われ、この編隊も、家族や親戚の仲間で作られています。
一羽では数百㎞しか飛べないけれど、仲間で飛ぶと、シベリアから日本まで約4000㎞の連続飛行が可能になるのです!
その訳は・・・
V字の一番前の雁の両斜め後ろにはうず型の上昇気流が出来、後ろを飛ぶ雁はこの上昇気流を使って楽に飛ぶことができます。その後ろは更に、また後ろは更に楽になります。
これは、長く危険な渡りを少しでもエネルギーを節約して飛ぶための工夫だと考えられています。
ただ、そうなると前の雁だけが疲れて大変では!?と思うのですが、よく見ると時々先頭が入れ替わっているのです。
疲れたら最後尾へ、そして2番手の一羽が先頭になり、また疲れたら最後尾へと仲間で協力し合って、みんなで渡っていくのです。
中には、疲れや怪我などで一時的に地上に降り立つ雁もいるのですが、その時にも一羽ではなく3羽以上で降り立ち、また再びV字を作って渡りを続けるそうです。

私はこの話を聴いて、ぶどうの仲間たちが頭に思い浮かびました。
同じ想いを持った仲間がいることを嬉しく、大切にしたいと感じました。
そして、サポートし合えるチームがいるなら、自分だけがずっと頑張らなくても大丈夫だと気持ちが楽になりました。
仲間がいれば、サポートしたりサポートしてもらったりしながら毎日を健やかに過ごすことができます。
そんな仲間がいますか?
ぶどうもその仲間に入れてくださいね。

                      
ぶどうの実平間園 園長

真の子育て支援を目指して!!

新年早々、1月2日に川崎市多摩区で「育児に疲れた」と母親が生後6ヶ月の長男を殺害したと、とても悲しいニュースを耳にしました。
このようなニュースを聞くと私たちに何かできなかったのかと胸が痛くなります。
家族や地域のなかで、母親の相談相手はいなかったのでしょうか。
保育園や子育て支援の拠点へ出かけることもできず、近所の公園で話しができるようなママ友がいない、核家族化で家庭の中で悶々としている母親は多くいます。
ぶどパパ先生が日頃「ボールを真ん中に落とさない」と話していますが、まだまだ子育て支援の手が行き届いていないのが現状です。
子育て家庭の困難、悩みは、孤立・格差・不全・不在・不調・排除であると言われています。
ママ友がいなく孤立していく。
6・7人に1人の割合で貧困家庭があり、経済的ストレスが多く、虐待に及ぶ。
子どもの低体力、睡眠不足、偏食、情緒不安定、非認知能力の低下。
障害者を地域や社会が暗黙のうちに排除している。
子育て家庭の働き方や待機児童問題。
多くの悩みや葛藤の中で子育てをしている親たちはたくさんいるのではないでしょうか。
母親の自己実現、自尊心の回復、孤立感の解消をしてあげることが大切なことだと感じます。

今年4月から、子育て支援新制度が執行されるのは、皆さんもご存知だと思いますが、本当の意味での子育て支援には、まだまだ至っていないように思えます。
子どもたちをどのように育てるのか、子どもの育ちで必要なことがもっと論議されよりよい子育て支援につながることを願います。

昨年8月に広島での土砂災害の際、ニュースで流れた保育園の話で、「今、必要なことは何かと考えた時、母親にとって一番は子どもの命の安全が一番だろう。母親が安心できる状況をつくり、母親が笑顔になることが大切である。母親の笑顔が家庭に影響し、はては地域社会へも影響してくる。だから一日も早く開園したかった」と、災害から2日目で開園したそうです。
今、保育園に求めれていることは何か、保護者にとって今一番の支えとななることは何かを考え行動した話でした。
保育園は子どもたちだけのためにあるのではなく、保護者の方々や地域社会のためにあるのだと痛感しました。              
子育て支援は幅広く奥深く、私たち保育士にできることは限られていますが、子育てに戸惑ったり、つらいなと感じた時に、保護者の方々の子育ての伴走者として、お互いに支えあい、つながりあい、お互いに創りあう関係のなかで子育てをしていきたいと考えています。
「困った時、悩んだ時は保育園へ」が合言葉になるように、真の子育て支援をしていきたいと思います。
                   

 ぶどうの実登戸園 園長より
プロフィール

ぶどパパ&ぶどママ

Author:ぶどパパ&ぶどママ
平成13年にぶどうの木を設立してから、私夫婦が保護者向けの園だよりに毎月掲載してきたものを、ブログで公開しているものです。
内容は、私たちが関わってきた児童養護施設や保育園、学習塾や様々な子育て応援を通して、子ども子育てを中心にその実践を踏まえた思いや願いなどを綴ってきたものです。
私たちの子ども子育ての実践を「ぶどうスタイル子育て」として確立して行きたいと同時に、広く紹介して少しでも子育てに悩んでいる親へのヒントや支えにしていただければと思っています。

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